救いの場を求めて③ 知能テスト
8月の暑い日。
夫、息子と三人で、療育を受給するため、知能テストを受けに保健所を訪ねました。
心理士さんとむかい合い、恐縮した様子でテストを受ける息子。
事前に「今日はテストがあるよ。ちゃんと答えるんだよ」と話してあったので、一生懸命に答えている様子が端から見ても伝わってきました。
一通りテストが終わるまでに、一時間程度かかったでしょうか。
試験を終えた心理士さんが、困ったような表情で私たちに結果の概要を教えてくれました。
「息子くん、何かありましたか。この間お会いした時と比べても、様子が少し違うように感じましたが」
「特には・・・。しいていえば、お教室をいくつか見学して、体験をさせてもらいましたが」
「大変申し訳ないんですが、受給者証は発行できません」
「え?」
「私も困っているのですが、今検査させていただいた限りでは、年齢相応の課題はこなせています。
〇をかけないこと、絵の完成ができなかったこと以外は」
「そうなんですか・・・息子、頑張っていたようではありますが・・・」
「不器用さは、確かに課題として残りますが。IQ上は、標準の範囲内です」
「・・・」
「とりあえず、正しい結果を書面でお伝えできるのは、稟議にかけるので一か月程度かかります。でも、今回の結果から申し上げて、受給者証は出ないと思います」
この答えを聞いて、率直に思ったこと。
IQが標準の範囲内であれば、発達に遅れがあっても、受給者証がもらえない?
標準の範囲内であれば、問題が解決するとは思えません。
そもそも、発達障害の評価がIQというのが乱暴すぎませんか。
この基準では、一部の子が支援からこぼれてしまうのではないですか。
主人と私は食い下がって、保育園で発達の遅れが指摘されていること、療育が必要であることをを心理士さんに訴えました。
けれど、心理士さんは「私も困っています」というばかり。
園が納得しないのであれば、園の責任者を呼んで保健所で話をしましょう、と。
心理士さんも辛い立場だったと思うのですが、その時は絶望感しかありませんでした。